龍とわたしと裏庭で③【黒魔術編】

とうとう親父と連絡が取れないまま連休を迎えた。


もう少しで一ヶ月になるよ

本気で心配になってきた


水曜日の夜に、自分の部屋で旅行バッグに着替えを詰めようとした。


「いらないんじゃない?」

圭吾さんが言う。


いるでしょう?


「圭吾さんはバッグを用意してるじゃない」


「志鶴のは買えばいい」


またそうやって!


「出かけるたびに買ってたらクローゼットいっぱいになるよ」


「僕の部屋のクローゼット、がら空きだけど?」


「圭吾さん!」


「どうしてまだ二階に住みたがるのかな。どうせ寝る時は僕の部屋に来るじゃないか」


「落ち着いたらまた自分の部屋に戻ります」


「ふうん、そうなんだ」


あ……また何かたくらんでるでしょ


一見、圭吾さんはわたしのわがままを何でも許すみたいだけど、気がつけば上手にあしらわれていてわたしの方が言いなりになっている事がある。


ずるいんだから


油断も隙もない人


でも、大好きなの


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