幻獣のタペストリー ~落ちこぼれ魔導士の召喚魔法~

 4

翌朝早く、あたしは伯爵邸に向かった。

厩の横を通りかかると、見馴れない少年がいた。

歳の頃は13、4。騎士見習い中の従者といった感じだ。


「おはよう!」


あたしが声をかけると、少年は飛び上がった。


「お、おはようございます、お弟子殿。僕は決して怪しい者では!」


「怪しい人はみんなそう言うよ」

あたしは笑って言った。

「あたしがホークの弟子だって分かっているって事は、昨日のお客様の一人ね?」


少年は赤くなりながらうなずいた。


「ゲオルグ卿の従者です。えーと……馬の様子を見ていたんです」


ゲオルグ卿なる人がどの人で、どんな地位の人なのかさっぱり分からなかったけど、あたしはうなずき、片手を差し出した。


「ご苦労様。あたし、サンディよ」

「パトリックです」

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