Black Sheep Project
「新月の夜、月が頂点に登るその時にこれをお飲み下さい。そうすれば2人の願いは叶うでしょう」

そして、魔女はこうも付け加えました


「もちろん……その時貴方は大切なものを失うことになる」

しかし王は小瓶を懐にしまうとその言葉を気にとめることなく、部屋を後にしました




そして新月の晩から10の月が昇った夜、城の一室に元気な赤ん坊の声が響きました

待ちわびていた王はとても喜びましたが、部屋から出てきた女中の顔は蒼白としています……



「どうした?子どもは、私の子は無事なのか?!」

焦るように問いただす王の言葉に女中はしっかりと頷きました


「はい……お子様は、王子様はお元気でいらっしゃいます」

「そうか!!」



「ですが……王子様は双子でいらっしゃいます!!」


『双子』という言葉に同じ場で喜びを分かち合った人々の声はピタリと止み、同じように蒼白とした表情を浮かべました
< 7 / 10 >

この作品をシェア

pagetop