モラトリアムを抱きしめて
「ちょっ、ちょっと!」

逃げるようにリビングの扉に手を掛ける少女を今度は私が、必死に止めた。

「もう外は暗いのよ?行かせられないわ」


なんだろう。さっきから。

私―……


少女に助けられたから?

義理?

それとも正義感?

違う、

護らなきゃって。

少女に会った時からだ。きっと。

護らなきゃって。

何かが私を怖いくらいに突き動かしていた。


この子を護らなきゃ。



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