超硬派彼女

気まぐれ軟派男

その後もソイツはライブの度に必ず現れ、機材車に乗り込む際、ペットボトルを差し入れてきた。


「お疲れさまです」


「オウ」


そんなやりとりを何度か繰り返すうち、人覚えの悪い俺もさすがにコイツの顔を覚えるようになった。


そしてある日のライブ終了後、翌日がオフだったこともあり、俺はちょっとした気まぐれを起こした。


「あ、お疲れさまです!」


いつものように機材車の前に立って、ペットボトルを差し出してきたその女に声を掛けた。


「おいオマエ、今日時間あるか」


「大丈夫ですけど」


「ちょっと茶でもしねーか?オメーにゃいつも差し入れもらってっからよぉ」


「エッ、いいんですか?よろこんでお供します!」


俺はソイツを機材車の助手席に乗せ、近くのファミレスに移動した。
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