I LOVE YOUが聴きたくて

新しい日々

オープン、当日。
夢だったことが、現実になる。なるように、努力をした。
大好きな雑貨屋さんの自分のお店を出したいと夢見て、思い描いていたことが、現実にできた。
魅麗は、自分の大好きなお店を出すことを、毎日、自然に考えていた。
夢を叶える近道って何だろう。
なりたい自分を、自然と思い描き、考えていることかな。
考えていると、方法が導かれ、閃くかもしれない。

今日は、記念すべきオープンの日。
魅麗は、朝四時に、目が覚めた。
「早く起きちゃったなぁ」
魅麗は、すやすやと寝息を立てて、気持ち良さそうに眠っている怜(ユウ)を見ながら和む。
「せっかくだし、日の出を見ようかしら」
日の出を見るなんて、元日以来だ。
魅麗は、コーヒーを白いカップに注いだ。
自宅とお店は、繋がっていて、自宅の部屋から、すぐにお店へ出られる。
魅麗は、コーヒーカップを手に、お店の方に行った。
ランプ型の電灯をつけて、窓辺にあるきのこ模様のテーブルに腰をかけ、コーヒーをすする。そして、窓の外の眺めのいい景色を見渡した。
魅麗のお店は、大通りから階段を上がった、少し高台の所に建っていて、街が見渡せて、とても眺めが良い。しかも、非常に陽当たりが良い。

魅麗は、まだ夜が明けない窓辺で、雄大に連なる山々、長く伸びている川、たくさんの家々や、まだ外灯のついている街並みを眺めていた。
魅麗は、そっと、窓を開けた。朝のそよ風が、入ってくる。
「あっ」
魅麗は、風の匂いを感じた様な気がした。
パリで、怜樹が言っていたことを思い出し、思わずひとりで笑った。
秋の朝風に、肌寒さを感じ、魅麗は、カーディガンを這おった。
そして、窓辺に立つ。
魅麗は、思いきり、深呼吸をした。
「風の匂い、か…」
魅麗は、怜樹の事を、思い出していた。
「あ、そっか。怜は、日本に来たんだった。今、同じ日本にいるんだ」
魅麗は、空を見上げた。
「今日は、晴れ」
まだ暗い空に、満天の星が、輝いていた。
「同じ空の下にいるんだ…」
怜樹がパリにいる時、魅麗は、自分は日本にいるけど、同じ空の下にいるのだと、励みにしてきた。今は、怜樹は近くにいる。魅麗は、空を見上げていた。

「あっそうだ!」

ふと、怜樹から貰った、宇宙の絵を思い出す。
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