法螺吹きテラー
9.ノート


神花先輩が消えた。

1冊のノートを残して。




3時間目の授業を終えて、
一番後ろの席だった彼女の席を
前の席の友人が振り返ると、
そこに彼女の姿はすでに無かったらしい。

普段から、
変わり者だとは言われていたし、
もう休み時間なのだから、
急いでどこかに行っただけで、
だけどすぐに帰ってくるだろう。

誰もがそう思った。


だけれど4時間目が始まっても、
昼休みに入っても、
午後の授業が始まり、
放課後になっても。


神花先輩の姿は、どこにもなかった。


< 62 / 95 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop