昼食を終えて直ぐの事。幸人君の携帯がなり、慌てて、出て行く幸人君の背中を、私と都筑さんは見送った。

 幸人君が、チラリと私を見てから出て行った気がするけど、何か言いたかったんだろうか?? ま、いいけど。別に……。

 そんな事よりも、私は大事な事で頭がいっぱいだ。だって、私は大事な事を忘れていたのだから……。

 私は洗い物をしながら、コインロッカーに預けた荷物の事を考えていた。

 カチャンと、最後の一枚を洗い終えると、私は食器乾燥機のスイッチを入れてクルリと、向きを変える。

 すると、都筑さんとバチッっと、目があった。不意打ちに、思わず心臓が跳ねる。

 な、によ。ずっと見てたの?? しゅ、趣味、悪い。

 「何ですか?」

 「さっきの事、思い出していたんです」

 はっ??

 「なんの話ですか?」

 「なんのって、公園で暮らしてたっていう話ですよ」

 え? あぁ……

 「ソレが、何か?」

 キョトンとする私の言葉に、都筑さんの眉間に一瞬だけ、軽くシワがよる。

 「どうりで、見つからない筈ですね。まさか女の子がそんな事するとは想像もつかなかった」

 なに、それ。

 「しかたないじゃないですか。お金もないし、生活するすべなんて、他に無かったんです」

 「だからって、女の子がそんな事、危ないとは思わなかったんですか?」

 ちょ、なによ……

 声を荒げないにしても、ちょっと怖い雰囲気に、圧倒される。だけど、仕方が無かったものは、仕方が無い。それに、そんなの都筑さんには関係ない事でしょ?

 私は、思ったままを口にする。

 「どうして、そんな事を言われなきゃいけないんですか? 都筑さんに怒られるような事、私してますか?」

 「してますよ」

 「意味が分からないです。だって私がどうしようと、都筑さんには全く、関係ないと思います。」

 「関係なくは、ないよ」

 はぃ? 何? 何が言いたいの??

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