女装彼氏×男装彼女

《なんてベタな展開》

私立河井学園は全寮制共学高校。

敷地内に五つの寮を完備。

学舎は四棟。

敷地面積は東京ドーム八個分という無駄な広さ。

そこが、今日から私の通う学校。



「で、ここ……どこ？」



その馬鹿広い敷地で、私は迷子だった。

入学式前に、理事長に挨拶をしなければいけないのに。

これじゃ、とてもじゃないが間に合わない……。


アテもなく校内を歩き回り、やっと人通りのある廊下をを見つける。

私は緊張して、少しだけ踏み止まった。


ーーー大丈夫。訓練は十分した。

私は、坂倉雪那じゃない。

……俺は、坂倉セツナ。



「すみません、ちょっといいですか？」



意を決して、私はすぐ近くに居た女生徒のグループに話しかけた。