『若恋』榊の恋【完】
婚約指輪




―――婚約指輪



指輪を贈ろうと思ったが、ひかるちゃんを宝石店に連れていくには抵抗がある。


「りおさん、今時間はありますか?」


悩んだ末にりおさんに相談することを決めた。

ひかるちゃんにどんな指輪がいいのか、まったくわからない。



「え?今?うん、暇だよ。どこかへ行くの?」

「ええ、ついてきていただけますか?」

「いいけど…奏さんに出かけるって言ってきてもいい?急にいなくなると心配するかもしれないから」


りおさんは小首を傾げ可愛く笑う。



「若にはわたしから話しますか?」

「ううん。わたしが言ってくる」



軽い足取りで若のところに行ったら、なぜか若もりおさんの後ろについてきた。



「榊さん、ごめんなさい。奏さんがどうしても一緒に行くって言うの。いい?」

「…若も、ですか」



< 135 / 440 >

この作品をシェア

pagetop