放課後は、秘密の時間…
第一章 秘密
「――……んせいっ、先生ってばっ!!」

「え?」


呼びかけてくる声で、ハッと我に返った。

すぐ近くにいた一人の女子生徒が、不思議そうな目であたしを見つめてる。


「先生どうしたの?」


……せんせい、って?


なんて頭に浮かんだ疑問はすぐに消えて、思わず心の中で突っ込んだ。


あたしのことじゃんっ!


そう、そうだった!

何で忘れてたんだろ?


あたしは今、『先生』!!


「あ、あの、ごめんね?先生って呼ばれるの、まだ慣れなくって」


言葉が見つからなくて、しどろもどろに本音を答えると、


「やだぁっ、センセーかわい~」

「先生、早く慣れてよー」


囲むように立っていた女子生徒が何人か、ケラケラと笑い出した。


あぁもう、あたしのバカッ。


『先生』のクセにぼーっとして、オマケに生徒にも笑われるなんて。

これじゃ全然ダメだよ。


教室じゃ気を抜かないって、あれほど自分に言い聞かせてきたのに……

しっかりしなきゃ!

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