電車を見送った後も、状況把握できない私は、時刻表を見ている前野さんの背中に、目線を向けた。

 「あの……」

 小さく私が、そう言うと、前野さんは振り向いて笑う。フイに見せられた、振り向き笑顔。そんな反則技の笑顔に、意味不明な状況なのにも関わらず、私の心臓は、ドキンと素直に反応していた。

 いやだな……。こんな調子で次の電車までもつんだろうか………。

 電車、早く来ないかな。ってか、来てっ!

 私がそんな無茶なお願いをしていると、前野さんはタイミングよく口を開く。

 「次の電車、まだ来ないよ。快速だから、ココ止まらないみたい」

 えっ!? うそでしょ!?

 「あの、前野さん!?」

 思わず名前を呼ぶと、前野さんは笑って返す。

 「何?」

 な、何って……

 「どうして、こんな……」

 「うん。だから先に謝った」

 あや、謝ったって……

 「前野さ――……」

 「まぁ、寒いしさ? 待合室で話しよう。人、いないし」

 私の言葉をそう遮ると、前野さんは待合室を指差した。

 確かに寒くて、辛かったので、私は素直に頷くと、それに応じる事にした。と、言っても。笑顔で前野さんに言われてしまえば、私に拒否なんて、出来る筈も無い……。