氷狼―コオリオオカミ―を探して
プロローグ 白魔の行列
ぐぅおー おー おー

風の喇叭(ラッパ)が鳴っている

たん と たたん

風の太鼓も鳴っている


真夜中 少女は目をさまし

ひとり寝床をぬけだした


風の喇叭が鳴っている

風の太鼓も鳴っている


窓をすりぬけ

雪明かり

二階の窓から下見れば

なにかが道をやってくる


雪の白馬を取り囲む

白い鼬(イタチ)に白狐(しろぎつね) 


銀の喇叭が鳴っている

銀の太鼓も鳴っている


雪の白馬の背中には

白い毛皮の外套の

高貴な殿が乗っていた


「嬢やおいでよ 殿様が

 遊び相手を お探しだ」


白い鼬がささやいた

白い狐もささやいた


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