氷狼―コオリオオカミ―を探して

電車から降りると、ホームで友達のサヤに会った。


「ハルカ、おはよう!」


サヤは帽子、マフラー、手袋の完全装備。


「おはよう、サヤ。すごい格好だね」


「いやあ、うちの母親が『寒いから』ってうるさくてさぁ。高二にもなって母親から毛糸のパンツはけって、ありえなくない?」


「うちも同じ。『体、冷やしちゃよくないのよ』っていっつも」


「そうそう、必ず言うよね。あたしなんて知らないオバチャンにまで言われてさ、ほっといてくれって感じよ」


ホント

ほっといてほしいわ


駅の出口に白い影がチラチラしてる。


近くまで行って、白狐じゃないことに気づいた。


馬の乗り手だ。


あたしは見えないふりをしながら、乗り手の横を通りすぎた。
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