氷狼―コオリオオカミ―を探して

「あの人に本当の記憶を取り戻してもらえばいいのかな」


「それが一番だが、危険も伴うぞ。すり替わった記憶の方を思い出せば、あなたが我らの方へ近づく」


「そうか……」


「今すぐという感じではないな。だが、このままでは次の冬には――」


あたしは目を閉じた。


もともと帰って来るつもりはなかった。

翔くんと過ごしたこの一年は贈り物だ。


ないよりまし


いつかイタチが言った通りだったかも。


「もしダメだったら、連れて行ってくれない? 来年ここで待ってる」


「それは構わぬが」
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