氷狼―コオリオオカミ―を探して

「俺達も後を追うぞ」


「ちょっと待って。この松明持ったまま? 危ないよ」


「そうだな……川の上を通るからそこへ投げ入れよう」


チェイサーは馬を促して狐達の後を追った。


「それっていいの?」

あたしはチェイサーの背中に頬を預けて尋ねた。


「人の子の創造物とは違う。俺達が作るものは自然から生まれ自然に還る」


「人間は不自然な存在?」


「いや、生命のあるものは死しても何かしら形が残りなかなか消えぬものだ」


「あんた達は違うの?」


「妖魔は――そうだな、いわば自然現象だ」


程なく大きな橋の上でチェイサーは馬を止めた。


「ここから投げ入れろ」
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