夢色そよ風

始まりはそよ風

始まりは暗い夜だった。

トクントクン
と脈打つ心臓。
痛いほど静かな駅。
月明かりもなく暗かった。

ぽつりぽつり
と水を落とす空。

ねぇ、泣いてるの?
あなたも泣いてるの?

道路に水玉模様ができていく。

私の涙もそっとこぼれては、
空の涙と混じって道路にシミをつける。

その駅は
一人で泣くには暗すぎた。
何かに縋りたかった。

でも縋る物なんて、
何一つ持ってなかった。
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