群青ホームラン
◇恋は直球勝負◆


案の定、一球目は振り遅れでストライク。俺の得意な位置だったのに……。


「おい!竹田集中しろ!!」

監督からの厳しい一言に、俺はキリッとピッチャーを見た。ジリジリとお互いの出方を伺う心理戦。 


あれ?そういえば野球って恋愛と似てるかも。 

俺はいつも相手が投げてくるのを待つだけ。それでいつももし逆の立場だったら、って考える。


俺だったらどう投げる?

どう勝負を仕掛けるのかって。


俺はバットをギュッと握った。そして思いっきり振りきりボールはカキーンと音を鳴らし空へと飛んだ。


そうだ、恋も野球と同じ。

もし長崎と俺が逆の立場だったら?


俺が長崎の友達であるなっちゃんを好きだったとして、それで昔誘ったけれど相手にされなくて。

あとに俺はなっちゃんではなく、長崎といい感じになったとしたら、俺は長崎になっちゃんのことが好きだったって言うのかな?

そんなことを言ったら嫌われるかもしれないし、引かれるかもしれない。

でも、でも俺は、多分長崎と一緒で言うと思う。だって隠しておきたくないから。

長崎には全てを知っていてほしいと思うから。


なんだ、簡単なことじゃん。

長崎が仮に違う理由で俺に打ち明けたんだとしても、俺の気持ちが変わらないのならそれでいい。


恋はいつも直球勝負。

まどろっこしい戦いは俺の主義じゃない。

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