群青ホームラン
◆群青ホームラン◇



日が登り、ついに試合の日がやってきた。

試合は俺たちの学校のグラウンド。 

ユニフォームに着替えて仲間たちとキャッチボールをしていると続々とフェンスの向こう側にギャラリーが。


普段ならこんなに人は来ないのに、相手が有名校だからかいつもの倍の人数が見に来ていた。 

……やべ、なんか緊張してお腹痛くなってきた。


「竹田!」

緑色のフェンスの向こう側で俺を呼ぶ声がした。

声の主を探すとそれは長崎だった。


「頑張れ竹田……!」

そうニコニコと笑う長崎の後ろには冴木となっちゃんの姿も。

みんなの顔を見たら何故か安心して、俺はいつも通りの俺に戻れた。


暫くして試合は開始され、ついに俺の戦いが始まった。

一回表はお互いに無失点、無得点。相手の学校は確かに強いけど、俺たちの高校がなめられてるのか二軍ばかりがレギュラーになっていた。

俺の打順は四番目。

仲間の三振が続く中、俺は絶対に一点入れると何度も言い聞かせていた。


そしてそのまま得意が入ることはなく俺の打順。バットをギュッと握り打席に立つと長崎の声が聞こえた気がした。


「竹田ー!!頑張れー!!」


なんでだろ?いつも打席に立つと周りの声なんか聞こえなくなるのに、長崎の声だけははっきりと聞こえる。


やっぱり俺、長崎が好きなんだな。
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