パシれメロス【短編】
目を開いたまま意識を失った彼を背負って水際から離れてパトカーまで運んだ。

パトカーにもたれ掛かるように座らせてあげて瞼も閉じてあげて彼に語りかける。

ありがとうお巡りさんA。あなたは命の恩人です。いくら感謝してもし足りないぐらいだ。

でも今の僕には使命があるから悪意の有無に関わらずお小言を頂いている時間はないんです。

ヤキソバパンの入った袋を改めて握り直すと、僕はお巡りさんに毅然として背を向け学校へ向かって駆け出した。

僕の背後には川が流れ元々橋があった両岸にはパトカーが停車しており、それぞれに気を失った警官がもたれ掛かっている。

そんなシュールな風景にも僕は振り返る事はなかった。

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