キミを想う。



「今日、S女と合コンすんだけど郁斗も行くだろ?」


「合コン?」


怠そうに友達を見る瀬野くんに、友達は必死で頼む。


授業が終わり帰る生徒や部活に向かう生徒で賑やかな教室。



「郁斗が来るならって相手がオッケーしたんだからさ、お前が来なきゃ意味ねぇんだよ!」


「んなこと知るかよ」


「頼むって!」


相変わらず面倒臭そうに返事する瀬野くんに、手を合わせてお願いをする友達。



嫌だなぁ、この席…。


瀬野くんの不良集団が騒がしくて落ち着かない。


帰る支度をしながら菜々ちゃんの迎えを待つ。



「今回だけだから!なっ?」


「…ったく。今回だけだからな」


はぁ〜…と溜め息を吐き、嬉しそうに盛り上がる友達と教室を出て行った。



やっといなくなった。



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