私立聖ブルージョークス女学院
単元2 皐月
 聖ブルージョークス女学院の体育祭は五月に行われる。僕は最初の一年間、いろいろな校内のクラブ活動や行事の補佐をする事になった。早く学校の事を知ってもらいたいという校長の希望により、という事だ。
 今日は体育祭実行委員会のミーティングの司会を任された。体育祭で行う競技を決める会合だ。各クラスの委員から活発な提案の声が飛び交う。
「玉入れ!」
「棒倒し!」
「玉ころがし!」
「棒高跳び!」
「アメ玉食い競争!」
「ビッグウェーブ!」
 ん?ビッグウェーブって何だ?僕は「ちょっと待って」と声をかけ、その生徒に質問した。
「ああ、すまない。先生はビッグウェーブというのを知らないのだが、どういう競技なのかな?」
 その生徒はなせか両手を頬にあて、少し赤い顔で答えた。
「あ、はい。縦に10人とか20人とか並んで、あと二人が両端にひもが付いた棒を足元にくぐらせて、並んでいる人は順に飛び跳ねて、棒を引っかけずに早く端までくぐらせ終わった方が勝ち、という、そんな感じです。」
「ああ、なるほど。いろいろな意見が出るのはいい事だと思うが……」
 ここで僕は、ゴホンと咳払いをして、少し声のトーンを上げて全員に言った。
「君たち、そろそろ『棒』と『玉』以外の競技を考えてくれないか?」
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