ひとりぼっちの勇者たち
月夜のほとりの泣虫


◆ ◇ ◆


濃紺のセーラー服に袖を通して、赤いスカーフをきつく結ぶ。
少しクセのある髪を耳元で結って、左手に腕時計をつけて。
それから鏡の前で、しばらく自分と向き合う。

スイッチみたいだと思う。

毎朝学校に行く前の儀式のようなもので、カチリと切り替える為のもの。
気持ちを、体を、心を。

そうすればあたしは大丈夫。

何があっても、どんなことがあっても、絶対。


「いってきます」


自分に言い聞かせて。


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