君を探して

“オレ”をやめたとき

その日遅れてきた深月は、目は腫れていたけど落ち着いていた。

きっと、一晩泣いて、少しは気持ちの整理をつけることができたんだろう。



……もう、やめよう。

“オレ”の役目は終わったんだ。



オレはそう決心した。

これからオレは、“オレ”ではなく“ヤマタロ”として深月と向き合うんだ。

「仲良し4人組」からの脱却はそう簡単じゃないのかも知れないけど……。


だけど、すでに日常となってしまった深月とのメールは楽しいもので、
その日も、次の日も、
……結局1週間以上、オレはそのことを深月に打ち明けられなかった。

このまま、いつか深月がその正体に気がつく日まで“オレ”を続けるか?

それも悪くない気がした。


もうやめようと思ってみたり、
もう少しだけこのままいたいと思ってみたり、

オレはこんなに優柔不断な男だったかな?

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