君を探して
だけど次の瞬間、ヤマタロが立ち上がった。

ヤマタロは、空になった紙コップをゴミ箱に捨てると、席には戻らずに真っ直ぐドアの方へ向かってくる。

(こっち来る!?)

そう思って身構えた瞬間、お店のドアが開いてヤマタロが出てきた。

「いつまでもそんなとこに立ってないで、入ったら?」

……気づかれてたんだ。

「……うん」

なんだか恥ずかしくて、目が合わせられない。

俯いたまま私が店内へ入る間、ヤマタロはドアを開けたまま待ってくれた。

「席、分かるだろ? 先に行ってて」

そう言ってヤマタロは、1人で、お客さんが列を作っているカウンターに並んだ。

「はい……」

言われるままに、奥の席へと歩く私。


ヤマタロが隣に立っただけで、

恥ずかしくて、

ドキドキして、

足がフワフワして……


こんな状態で私、ヤマタロにきちんと好きって伝えられるのかな……。
< 295 / 308 >

この作品をシェア

pagetop