君を探して

親友

次の日の朝。

重い体を起こしても、
服を着替えても、
顔を洗っても、
ご飯を食べても、

“オレ”からのメールは届かなかった。

“オレ”とメールをするようになって以来、朝のメールが届かないのはこの日が初めてだった。

私、“オレ”のこと傷つけちゃったんだ……。

改めて自分の言い放った言葉の重みを痛感する。


「深月、ご飯の時くらい携帯見るのやめなさい!」

ずっと携帯とにらめっこをしている私を見て、ママが言う。

「はーい。ごちそうさま!」

うるさく言われる前に、私は席を立った。


家を出ると少し強めの風が吹いていて冷たかったけれど、寝ぼけ眼の私の頭を目覚めさせるのにはちょうどいい。

エレベーターホールの前で、先にエレベーターを待っていた陽人と出くわした。

「おはよう、陽人」
「おす」

陽人の横に並んで、エレベーターの到着を待つ。

よかった。
陽人はもう、いつも通りの陽人だ。

「今日の朝練は?」

「サボり。それと、朝練じゃなくて自主練だから」

「ふーん」

「ヤマタロは走ってるみたいだけどな」

朝のエレベーターは利用する人が多いのか、なかなか私たちの階に止まってくれない。

業を煮やした陽人は、

「もう待てない! 深月、階段いくぞ!!」

と言い終わらないうちにもう、非常階段があるドアへと走り出していた。


もーう。
朝くらい、ゆっくり行こうよ……。


そう思いながらも、私は慌てて陽人を追いかけ、非常階段を駆け下りた。


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