『若恋』短編集1【完】



「若、りおさんは若の気持ちにまるで気づいていませんね」

「そうらしいな」

「このままでいいんですか?このままいくと、樹っていう同級生に盗られますよ」

「………」

「怖いんですね」

「………」




バシャッ!



「冷たいでしょ?」


水鉄砲で深刻そうな話をしていたふたりに水をかけた。



「奏さん、榊さん、一緒に遊ぼう!」



せっかくみんなでプールに来たんだもの。
楽しく遊びたい。



「奏さん早く!榊さんもほら!」



ふたりの腕を引いて一緒に水に飛び込む。




今日はありがとう。

もう大丈夫だよ。

わたしにはみんながいる。




―――ありがとう









ふたりの夏【完】




< 36 / 44 >

この作品をシェア

pagetop