HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~
□Mirror.6
■Mirror.6
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今朝、雅の様子が何となく変だった。
いつもと変わらない低いテンションだったけど、どことなく顔色が悪かったし、元気がない……と言うよりも何かから逃げているような…
そんな緊張感があった気がする。
彼女は僕に何も言わない。
元々秘密が多い子ではあった。
あまり自分のことを語らないし、僕は彼女の言葉よりも仕草やちょっとした表情で大体の感情を読み取っていたつもりだ。
だけど今日に限ってはその表情すら―――読み取れなかった。
それでも時間だけは流れて、あっという間に一日が始まった。
気になると言えばもう一つ……
久米 冬夜。
僕が昨夜目にしたのは本当に彼の姿だったのか。
見間違いにしてはあまりにもはっきりと残像が残っているし、あれが本人であっても何故僕のマンションを知り得て居たのか、何故あの場所に突っ立っていたのか…
謎は深まるばかりだ。