運命に導かれて


「クレモント?あたしはどうしてここに?」


羽衣は今置かれている状況についていくことができずオロオロするばかり。



「ここはフィーリア国。クレモント家の城内だ。お前は……何者だ?」



男は羽衣があまりに取り乱し、会話が成立しないことにため息をつき


会話を進めるべく少し声のトーンを弱めた。


「フィーリア国?」


羽衣は聞いたこともない名前だった。


「そうだ。お前はこの国のものではないのか?」


「あたしは佐伯羽衣。日本人よ。でもどうしてここにいるのか本当にわからないの。」


羽衣は正直に話しているが相手の冷たく突き刺すような視線はゆるむことがない。


「サエキウイ?ふざけた名前だな。日本人など聞いたこともない。」










< 6 / 160 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop