わたしがお母さんになった日 ~16歳の妊娠~
「でも一番大切にしてほしいのは、あなた自身の気持ちです。」

院長先生はつづけた。

「これはわたし個人の意見ですが、やむをえない事情で中絶した場合、たとえその決断は仕方のないことだったのだと、自分自身に言い聞かせたとしても、胎児を失った悲しみはそう簡単に癒えるものではありません。

あなたはその悲しい現実を受け止め、これからの人生を歩んでいくことになるでしょう。

出産を決断した場合、あなたは母として、赤ちゃんを育てなければなりません。

赤ちゃんは一人の人間です。あなたには生まれてきた赤ちゃんを、きちんと育てていく責任があります。

どちらを選択するのかよく考えて、周りの方々とも話し合い、あなた自身の気持ちを尊重したうえで、決めて下さい。」



わたしは院長先生の言葉にうなずいた。


妊娠してしまった今、産むのか、それとも産まないのか、わたしは決断しなければならない・・・。




わたしはそばに貼られたエコー写真を見た。


それは先ほどモニターで見た小さな赤ちゃんの写真だった。


わたしと晃司くんの小さな赤ちゃん・・・。




院長先生からは、次は保護者と一緒に来るように言われていた。


当然、両親にも、妊娠のことを話さなければならない・・・。


そして晃司くんにも・・・。


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