ヴァイブ
恋する女
―――玲二の家に着くと、もう夜の八時を過ぎていた。

玲二から貰った合い鍵を初めて使って、部屋まで入った。


玲二と響は仕事か。

持って来たボストンバックを開いてる部屋に置いてから

お風呂にお湯を溜め始めた。


リビングに入ってから、テーブルの上に置かれている玲二の名刺が目についた。

琴子に見せてもらった名刺と同じ物。


だけど、全く同じではなかった。

店名と名前が書いてある隙間に

【七海。何かあったら電話すれ。】

そう書かれて、携帯番号も書かれていた。


すぐに携帯に登録してから、

名刺をひっくり返すと

【ついでに俺のも。 by響】

響の携帯番号まで書いてある。


響には、もう暮らす事を言ったんだ。


そう思いながら、

ホントについでだな。と響の番号も登録した。


携帯を閉じようとしたら、着メロが鳴った。

ディスプレイには

《父》

…父親からだった。

「はい?」

普通に出ると、

「なっ…七海!お前っ…どこにいるんだ!?」

慌てた声で怒鳴る父。

「友達の家。
ってか、もう置き手紙読んだの?」

「あぁ…」

「今日は、随分と早い帰りなんだな。」


< 79 / 223 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop