崩壊家族
「ヤダ、奥様って…」

そう言われたことが恥ずかしくて、私は両手を頬に当てた。

奥様と言えば、奥様だ。

けど、私は洋介の奥様ではない。

そう思った私に、
「本当によく似合ってるでしょ?

僕のお嫁さん」

洋介の手が私の肩に触れたと思ったら、店員に言った。

“僕のお嫁さん”

そのセリフに、ドキッと私の心臓が鳴った。

そんなキザなセリフを夫に言われたことがなかった。

夫はそう言うことが大嫌いな人だったのだ。

キザなセリフをサラリと吐いた洋介に、やっぱり私は彼と一緒にいるべきなんだと思い知らされた。

「カゴにある服、全部お願い。

後、今彼女が着てる服に合う靴持ってきて。

すぐ出かけるから、この服の値段切っておいて」

「かしこまりました」
< 34 / 105 >

この作品をシェア

pagetop