崩壊家族

3-3.これが、私の家族と幸せ

日本を旅立つ当日の朝。

「さゆり、準備できたか?」

「ええ、もちろんよ」

私は洋介に返事をすると、靴を履いた。

「いよいよ、アメリカへ行くのね」

そう言った私に、
「ああ、そうだな」

洋介は首を縦に振ってうなずいた。

家具とかの家の物は、業者に頼んでアメリカの家へ全部運んでもらった。

物がなくなり、広々とした我が家を眺める。

家具が置いてあった当時も充分広かったんだけど、家具がなくなるとさらに広い。

「さ、俺たちも一緒に行こうか」

「ええ、行きましょう」

そう言って2人で微笑みあった時、スマートフォンが震えた。
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