崩壊家族

3.夫

「全く何やってんの!?」

「申し訳ありません…」

社員からの注目を浴びながら、俺は謝った。

「こんなふざけた書類で案が通ると思ってるの?

もう1度やり直し!

今日中にね!」

「はい、わかりました」

目の前の上司……って言っても、10歳以上離れている年下の男から書類を受け取る。

そのままトボトボとデスクに戻ると、ため息を吐いた。

「元気出してください、山村さん」

温かいお茶を置いてくれたのは、俺の部下だった。

そして、俺の愛人である彼女。

「私もできる限り、お手伝いします」

「ありがとう」
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