カナリア鳴く空
「結婚おめでとうございます」

祝福の言葉を言ったのは私のマネージャーの佐々木敏和(ササキトシカズ)だ。

彼は私と同い年の37歳だ。

「ありがとう」

佐々木の祝福の言葉に、私はお礼を返した。。

「いやあ、君塚さんもついに結婚ですか」

しみじみと言った佐々木に、
「おいおい、“ついに”とは何だ。

“ついに”とは」

ムッとなって、私は言った。

「あれ?

聞こえちゃいました?」

とぼけたように言った佐々木に、
「フツーに言ったくせに何をとぼける」

私は呆れた。

「だって君塚さん、この年齢(トシ)になっても1人でしたから」

苦笑いしながら佐々木が言った。
< 2 / 209 >

この作品をシェア

pagetop