ハーレム ブラッド
乙女心
それから半月ほど経った。


とは言え特に変化がなかった。



教室


「いや〜。

サンキュー、幸大。

お前って優しくて良い奴だな。」

行正がプリントを書きながら言う。

「…。

なぁ、俺って優しいのか?」

幸大が言う。

「俺はそう思うけど?」


「優しいんじゃなくて甘いんじゃないかって最近思うんだよな…」

「確かにさっきの授業で提出しなくちゃいけなかったプリントの答えを今ごろ教えてくれるのは優しいと断言できないよな。」

行正が言う。

「宿題をまったくやってないし提出日を覚えてないお前が悪い。」


「ざっくりと心臓を抉られた気分だな…


でも何だかんだ言って答えを教えてくれるんだから良い奴だ。」


「優しいか甘いかを聞いてるんだよ。」

「確かに幸大は優しいんじゃなくて甘いんじゃないか…と思うぜ。

悪ふざけをしても非情になれないとかさ…」

「は?」

「ほら、小学校の時のことさ…


俺の靴が上級生に隠された時さ…


お前は最初、

『お前にかまったら俺まで虐められる。』

とか言ってさ…」


「ああ…アレか。」

「あの時、お前が立ち去った時は泣きそうだったぜ…」


「まだ、知り合って間もなかったからな…」
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