色をなくした世界
呼び方
会社の一日目は忙しさに追われ終わった。


やっぱり働いていた方が雪乃には楽しい。


雄大を外で待っていると・・・一馬が歩いてくるのが見えた。


時計を見れば、雄大が来る時間までまだ多少ある。


意を決すると雪乃は一馬に声をかけた。


「春日谷さん・・・・」


かけられた一馬は、あの日の事など何もなかったように雪乃を見る。


「何?」


短い返事に眉間のしわ。これでよく社会人が務まるなとある意味感心してしまう。


「少し時間ありますか?」


そう聞けば、10分くらいならと答えが返ってくる。


「それじゃぁ・・・ここで少し待っててください」


そう告げ、雪乃はロッカーに走った。


あの日一馬に借りたコートを返すために・・・。


雪乃が走って戻れば、一馬は缶コーヒーを飲んで待っていた。


「お待たせして申し訳ありません・・・」


頭を下げる雪乃。


「別に待ってないし・・・何?」


ここまで冷たいと逆に面白いなと思えてくるから不思議なものだ。
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