『王恋』☆ハロウィンは恋ざかり☆

フェリクス&ハンナ

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一方、フェリクスは舞踏会室に入ると早々に、真紅のドレスをまとったハンナを見つけた。


彼女の髪にフェリクスが以前誕生日プレゼントとしてあげたコサージュの髪留めがつけられている。


だからすぐにわかったのだ。


彼女は誰かを探しているよう。


数メートル先のハンナをじっと見つめていると、彼女の視線とぶつかる。


しかし、自分がフェリクスだとはわからないよう。


フェリクスはゆっくり歩き出すと、ハンナに話しかけた。


話す相手が誰だとは分からないようで、誰かを探しているそぶりをしている。


「どなたかと待ち合わせをしているのですか?」


声色を変えて問いかけるフェリクス。


「いいえ 待ち合わせはしていません でも、好きな人を探しているんです」


フェリクスの目と合さずに話し、めまぐるしく辺りを見廻す動く瞳。


「貴方の好きな方とは?」


「とても素敵な方です では、失礼いたします」


ドレスの両端を持ち、上品にお辞儀をして去ろうとしたハンナ。


その時、ハンナの腕をフェリクスは掴み足を止めさせた。


「? あ、あの?」


掴まれた手をたどり、フェリクスの顔を見るハンナ。


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