使者の黙示録
(こんなときに限って)


マザー・アミコは、万全の体制が整っていない状態で

なぜ少女たちをお使いに行かせたのか、自分でもよく分からない。


「様子を見に行ってきます」


マザー・アミコは修道院のマザーたちにそう言うと、座っていたソファーから立ち上がる。


(あの子たちに何があったのだろう?)


ふだんは冷静なマザー・アミコが、珍しく焦っている。


めったに見ることのない、マザー・アミコの余裕を失った固い表情が

彼女のまわりの空気をピリピリと張りつめたものにするとともに

修道院のマザーたちを緊張させる。

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