使者の黙示録
野瀬の背筋に、ゾクッと悪寒が走る。

胸の奥から一気にあふれ出る、団司に対する恐れが

野瀬の全身をブルッと震わせる。


(こ、この男はっ!)


団司は、野瀬が調査を開始したときから

野瀬の考えることやその動きを、最初からすべて知りつくしていたに違いない。


野瀬の前に偶然のように現れ、警戒心を感じさせない、その余裕のある態度は


(俺の命など、殺ろうと思えばいつでも殺れるということか)


野瀬の内にわき上がる恐怖が、野瀬自身にそう思わせる。


(もう、これ以上は無理だ…)


野瀬は、団司の調査に限界が訪れたのを悟るのだった。

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