使者の黙示録

・終息する異変

秋の空は変わりやすい。

ころころ変わる天気に、学生も社会人も振り回される感がある。


昨年までは、実際にそうだった。


(今年は、やけに雨が少ないな)


アーケードのいつもの場所で、占いの客が訪れるのを待っているルゼは

よく晴れた空を見上げながら、そう思った。


このまえ、シスター・マヤに会ってから、もう1週間が過ぎるが

街には、相変わらず一般人には感知できない「うす紫の雨」が降っている。


胸に抱く不安は、日が経つにつれて膨らむばかりで

彼女の神経をピリピリと尖ったものにしてゆく。

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