使者の黙示録

・神に抱かれて

「使者様…」


団司を見て、ポツリとつぶやくシスター・マヤ。

団司は、彼女がここで逃げもせずに何をしていたのかが、胸が痛むほどよく分かる。


しかし、団司はシスター・マヤに伝えなければならなかった。

彼女にとって、残酷な事実を。


「シスター…君のその祈りは、神様には届かない」


団司の言葉に愕然となるシスター・マヤ。

自分のちっぽけな命では、神様は願いを叶えてはくれないのか。

これほど真剣な祈りであっても

神様は災害に巻き込まれている人々に、救いの手を差しのべようとはしてくれないというのか。

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