使者の黙示録
団司は嬉しかった。

自分の抱く苦しみを完璧に理解してくれる人が、自分の傍にいる。

ルゼの言葉は、良心に苛(さいな)まれる自分の心を、どれだけ癒してくれることか。

その喜びは「ありがたい」のひと言では、とても表すことが出来ない。


団司の背負っていた見えない十字架が、団司の背中から解放される。


どこか安心した笑みをその顔に浮かべた団司は、ルゼに礼を言った。


「ありがとう」


ルゼは、母親がわが子を慈しむときに見せるような温かい微笑みを

愛の想いにのせて、団司に送るのだった。

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