団司は、吸い終わったタバコを足もとに放ると

火を消すべく靴でふみつけながら、ルゼにつぶやいた。


「君なら、知ってると思ったんだけどな」

「え?」

「たぶん、時間をかけて、こうなるようにしたんだろう」

「こうなるようにした?」

「ふつうの人には見えない何かが、天から降り注いでいたんじゃないかと思うんだけど」


ルゼは団司の言葉にハッとする。

ルゼの方に振りむいた団司の顔が、彼女に「ちがうか?」と言っている。


「君には見えたんじゃないの?」

(あれか!)


ルゼには、思い当たるものがあった。

「うす紫の雨」だ。