使者の黙示録
「確かに、天から降っていたよ。『うす紫の雨』が」

「ああ、やっぱり」

「五感には感知できない、心の目でしか感じることのできない奇妙な雨だった」


生物には何の影響も与えていないと思ったその雨は

人間が作ったさまざまなものに、物理的な変化を確実にもたらしていたのだ。


本来、この災害は

人類の絶滅とともに、人類が築きあげた文明をも根こそぎ壊滅させるような

そういうシステムが組み込まれていたのかも知れない。


ルゼは、急にある事が気になってきた。


「使者よ、私たちが使っている車は大丈夫なのか?」

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