トゲ病
出会い
「大丈夫かっ!おいっ、どこが痛いんだっ?」                            40代後半位の男性が、輪を潜り抜け美佳に駆け寄った                                              「ぐっ、ヒック…トゲが…アッアッ…ヒック」                                         涙と鼻水でグチャグチャになった顔で美佳は懸命に話そうとするがことばにならない                                                        「大丈夫だ、すぐ医者へ行こう」                                              その男性は美佳を抱き抱えるように人込みから連れ出した                                                                                 美佳は目の前の景色がいつも通りに戻って行くのを、遠ざかる意識の中でボンヤリと確認して目を閉じた                                                                           目覚めた時、果たして現実は訪れているのだろうか?
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