- π PI Ⅱ -【BL】
円周÷直径=∞(インフィニティ)


「な、何故居る―――!!」


周はにこにこ靴を脱ぐと、


「可愛いハニーを一人で帰すのは可哀想だと思ってな♪俺様、仕事を超特急で終わらせて来たぞ?」


嬉しいか?なんて言って、額にちゅっとキスが落ちる。


いやいやいや……


この人、ホントに神出鬼没だな…


ま、そでもいっか。なんて思ってると周の手のひらが俺の頬を包んで、引き寄せた。


触れるだけの優しいキスをされて、きゅっと抱きつく。


周の力強い腕―――……


広い背中。


じっくりと確かめるように力を込めたが、周の腕はあっけなく離れていった。


周………?


周は俺を覗き込むと、頭を軽く撫で上げ、


「疲れたろ?先風呂入って、今日はゆっくり寝ろ」なんて軽く笑った。


おかしい……


いつもなら遠慮なく押し倒してくるはずなのに。


風呂に入る、なんて言えば誰よりも早く服を脱ぎ捨て、ついでに強引に俺の服も脱がせてくる筈なのに…


……変だな。


疑うような目で周を睨むと、周はどこからかヒロジを取り出した。


「ついでにこいつも洗ってやってくれ」そう手渡された人魚ヒロジはうっすらと汚れていた。


「どうしたんだよ、何か黒くなってるぞ?」俺が怪訝そうに聞くと、


「お前と喧嘩して会えないときに可愛がりすぎてそーなった。一緒に寝て、あんなことやこんなこと…」


「それ以上言うな」


やっぱふつー。いつも通り!いつも通り炸裂だな!!



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