LOVEsoHIGH
*アウトエリア*

ドリンクサービスを終えて、ギャレーに引き返しカートを片付けて機材に固定する。


よし、次はディナーの準備だ。

先輩たちに続いて、ディナーの準備を手伝う。


ギャレーの中では、CAたちも和気あいあいと話をしていた。



「見てたわよ~座席番号30のA

何話してたの?」



背後から忍び寄り、こっそり耳打ちをする先輩。

お局様っていうのかもしれないけど、この機体のCAの中では一番偉い人だ。

近々訓練学校の教官になるって噂されていて普段はファーストやビジネスクラスにいるんだけど、今日は私のお目付け役なんだろう。


先輩がいう30のAとは、彼が座っているビジネスシートの座席番号だ。

私たちは、お客様を失礼ながらも座席番号をコードネームのように呼ぶ時もある。


「いえ、飲み物の種類を聞かれて……悩んでいたみたいですが、何も頼まれませんでした」


私は、嘘をついた。

だって、まさかでも離陸直後に名前を訊かれて「デート」に誘われたなんて言ったら何を言われるかわかったものじゃない。



まだデートするって決まったわけじゃないけど……


< 8 / 65 >

この作品をシェア

pagetop