空しか、見えない
 終電ぎりぎりの時間まで、ハッチのメンバーは佐千子の部屋で飲んでいた。
 部屋を片付けて、バスタブに張った熱い湯に浸かり、ようやくベッドに入ったところだった。
 のぞむは、どこからメールを送ってきているのだろう。今晩は実家に戻ると言っていたはずだが。
 小さなキッチンには、まだ皆が使ったコップや皿が、洗いたてで重ねられている。ついさっきまで、皆が放っていた熱気を、佐千子は思い出す。
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