甘い旋律で狂わせて
第四楽章 背徳
「おはよう、花音」


うつろな意識の中、優しい声が耳に響いた。


「ん……ネオ……?」


眠い目をこすれば、美しい顔立ちがだんだんと輪郭を現す。



ハッと意識が戻り、あたしは自分の置かれている状況を確認した。



ここは……ネオの部屋?


見覚えのあるふかふかのベッドの上で、あたしはネオの腕の中にいる。


一糸纏わない裸の体は、シーツだけに包まれていて

その自分の姿が昨夜の情事を現実にしている。



「あ、あたしっ……」



ネオの顔を見上げて、思わず体を背けた。



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